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2015年 下関市知的障害者施設虐待事件

お仕事

虐待防止研修で職員に見せて話をします。決して他人ごとではないと。

発生する3年前の2012年(平成24年)に障害者虐待防止法が施行され、現在は障害者虐待防止として、全国の障害者支援施設で勤務する全ての職員に対し、その資格を取ることを義務付け、その再発防止に向けた取り組みを進めている。では、なぜこのような虐待が起きたのだろう。

虐待が発覚したのは、内部告発だった。しかし、虐待は以前から繰り返し行われており施設全体で目をつぶっていた。利用者に対しての人権意識が低く人として見ることが出来なくなっていたのだろう。施設では、しばしばこのような当たり前のことが分からなくなり、虐待さえも普通だと思えてしまう。

虐待は以前から繰り返し行われており施設全体で目をつぶってい状態。施設では、しばしばこのような当たり前のことが分からなくなり、虐待さえも普通だと思えてしまうんです。

調べてみると、虐待のあった施設は昭和59年開設とあり、創立39年の歴史がある。山口県の下関市は人口25万人ほどで、同じような施設(生活介護)は約30か所ある。高槻市が人口35万ほどで、施設(生活介護)約30か所なので、決して少ないわけではない。当初、ニュースを見たときは田舎にある古い施設での出来事かと勝手に思い込んでいたのだが、そうではなく比較的街中ににあるのだ。

虐待をなくす取り組み
  • 第3者の目を入れる(見学者、家族など施設内に地域の住民が介入できるイベントの開催)
  • 利用者・家族に満足度調査
  • 質を上げるために研修を行い、OJTでしっかり人との関わり方や介護について伝えていく

この状況を考えると、この虐待は起こるべきして起こったものだと感じる。虐待防止のため第3者の目を入れる必要があるのだが、当時の施設長はこの必要性を理解できていなかったのだろう。実習生や見学者、家族など施設内に地域の住民が介入できるイベント等があるだけで職員は利用者だけでなく外部の人にも気をつけることになる。また、利用者・家族に満足度調査を行っていればもっと早く改善できたかもしれない。この施設は、立地的にもできることをやってこなかったのだ。

直接虐待している職員はもちろん認められないことなのだが、それを見過ごしていた施設管理者、サービス管理責任者はより重責は重い。古い法人が全てこのように人(利用者)を軽んじているわけではないが、新しい施設に比べて多いように感じる。他に働くところもないし障がい者関係の仕事でもやるかと思って働いた人がいたのも事実だろう。景気が悪く就職難で勤めた時代とは違い、現在は広告を出しても応募がない働き手の取り合いになっている。辞められると運営できなくなるので少々のことは目をつむる。このような虐待等があっても介護業界は、いつまで経っても質が上がらない。

報酬単価を見ても職員全てに満足な給与なんて払えないので、そもそも無理があるのだ。ボランティア精神でやれと言うのは通じないし、パワハラだと言われる。質を上げるために研修を行い、OJTでしっかり人との関わり方や介護について伝えていく必がある。理解できない、できない者は辞めさせるべきなのだ。差別や虐待がなくならないように、そのような人は必ずいるということを理解しておいた方がいい。

施設管理者、サービス管理責任者に対して、良し悪しを言える人がいなかったのが残念でならない。ダメなことはダメだと言い合える職員関係を築けておらず、利用者との関係も築けていない。同業者として恥ずかしい限りだ。このニュースを見て危機感を感じた施設はすぐに改善してもらいたい。それは、犯罪行為であり、見過ごすことも同様であることを知ってほしいし、虐待は身近にあることも知ってほしい。

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